会計士が解説!監査法人での働き方について

クーちゃん

論文式試験合格後、監査法人に入所するまでの流れは?
論文式試験合格後の監査法人での働き方は?
公認会計士資格を保有してからの働き方は?

今回はこのような疑問に答えれるように解説します。

こんにちわ。大阪の会計士/税理士の唐木です。

私は監査法人の就職氷河期に合格したため違いましたが、「会計士試験」の「論文式試験」に合格すると監査法人で勤めるのが一般的です。

今回は、監査法人に入所する流れや監査法人に勤めて修了考査に合格して公認会計士資格を保有する前と後での働き方についてお話します。

これから公認会計士の資格を取ろうとしている方や、公認会計士に興味がある方に役立つ情報となっていますので、ぜひ読んでみてください。

目次

監査法人に入所するまでの流れ

「論文式試験」は8月中旬~下旬にあり、「論文式試験」の合格発表は11月中旬にあります。

合格発表までの3か月間は、各監査法人の説明会があればそれに参加して準備をし、合格発表で合格していればそこから本格的に就職活動を開始します。

合格発表後、就職活動をしてから監査法人に入所するまでの期間は1か月もなく、かなりタイトなスケジュールになりますので、合格発表までの3か月間で入りたい監査法人を決める等事前に準備をすることが欠かせません。

11月中旬から就職活動をして、そこから1週間~3週間程度で内定を得て、12月中旬には監査法人に入所するという流れになります。

このようにかなりタイトな日程となっているのは、監査法人にとっての最大の繁忙期が4月~5月であるため、新人研修を含めて少しでも早く戦力化できるようにするため、できる限り早く入所させたいという監査法人の考えがあるためと思います。

監査法人入所後、修了考査に合格するまでの働き方

監査法人に入所してすぐは新人研修を受けます。

新人研修の内容は、「監査ツールの使い方」「エクセルの使い方」「ビジネスマナー」等多岐にわたります。

この研修を1か月程度受けて、監査現場に行くことになります。

監査法人ではクライアントに人を紐づけるアサイン制になっていますので、色んな会社の監査を担当することになります。

最初の数か月はわからないことだらけで、気がついたら繁忙期が終わります。

もし繁忙期の業務の中で、一緒に仕事をしたいと思える上司に巡り会えたのであれば、その上司に積極的にアサインをお願いするといいと思います。

監査法人のアサイン制のメリットは比較的働く人を変えやすかったり、固定化しやすい点にあり、逆に上司と気が合わなければチームから自分を外してもらうように動くことが大事です。

そのような環境にいても、自分自身大変ですし、上司に気を取られていたら成長する機会を失うことにつながります。

特に監査法人に入所してからは、自身の成長を意識して業務に取り組むことが大事です。

職業柄なのか、やはり主体性が好まれるような風潮はあり、わからないことがあれば、先輩や同僚に聞いたり、自分で調べてとことん理解するまで考えることが重要で、これをしてるかどうかで3年後修了考査に受かって主査をするようになってからの仕事のやり易さが全然違ってきます。

最近は、新型コロナウイルスの発生をきっかけに監査法人でも在宅勤務が認められるようになってきていますが、新人のうちは出来るだけ事務所か監査現場に赴き他の人と一緒に仕事をすることで経験を積むことが重要でしょう。

また、スタッフの間にできるだけ色々な会社に関与し、色々な会社の管理体制を見て学んでおくことが大事で、現場責任者の主査レベルになると関与する会社が狭く深くなるため、スタッフのうちに色々な会社を見ておくのがよいでしょう。

1年目の監査現場では、簡単な科目である、「現預金」「借入金」「有価証券」等の科目を担当し調書を作成することが通常です。

1年目の科目は、主に監査手続の「確認」により、「実証手続」を進めることになります。

そのため嫌というほど「残高確認状」をチェックすることになるでしょう。

担当する会社によっては、銀行の預金口座の数が会社の営業所毎にある場合等では、50件とか100件の「残高確認状」を確認する必要があります。

それからどんどん担当する科目が増えていき、「固定資産」「経費」「売上・在庫」といったビジネスに深く関わる勘定科目を担当するようになります。

主査に比べると自分でアサインを調整するのが難しいので、業務量が多かったり少なかったりする場合は、適時に相談して対処する必要があります。

基本的にスタッフの間は監査業務に携わることがメインにはなりますが、間接業務としてリクルートに携わることもあります。

リクルートは会社の顔として、就職活動をする「論文式試験合格者」に対する対応として、法人説明会に携わったり、監査法人のホームページに掲載するリクルートブログを執筆したり、動画や写真撮影の被写体になったりします。

修了考査に合格し主査になる前のスタッフの間は、リクルート以外の間接業務に携わることはあまりありません。

修了考査に合格し、公認会計士資格を保有した後の働き方

修了考査合格までの流れ

監査法人に入所して3年後に修了考査を受けることになります。

修了考査は12月中旬頃に行われ、監査法人に入所していれば、試験前の2週間~3週間程度は試験休暇があるので夏頃から勉強を進めつつ試験休暇の期間でがっつり勉強して合格を目指します。

修了考査を受ける際は通常修了考査の対策講座を受講し、対策することになります。

昔は、公認会計士資格を保有する方が教師であり、わかりやすさや答練の良さから「TAC」を受講する方が多かったですが、最近は、「CPA」の対策講座を利用する人も多いようです。

この修了考査をパスできるかどうかで、スタッフからシニアに昇格できるかがかかっているので、当然ながら一回でパスすることを目指すべきです。

ここで合格すると、次の年度からシニアに昇格し、主に割り振られた調書を作成するスタッフ業務から、クライアントからの相談対応や担当割を考えたりする、主査業務をメインで担当することになります。

特に近年は監査法人において人手不足であることから、今までスタッフとして関与していたところを一部スタッフとして継続して関与しつつ、主査業務を担当することがあります。

修了考査合格後の主査業務について

修了考査に合格すると基本的にはスタッフからシニアに昇格し、今までスタッフ業務が中心だったのが、主査業務中心になります。

主査は、現場責任者としてクライアントとメインでやり取りをする人であり、チームをコントロールする立場にある人です。初めのうちは主査のうえに総括主査としてさらに上の役職であるマネージャーの人もチームにアサインされますので、総括主査の管理のもと業務を進めることになります。

主査となっていても人繰りの関係でスタッフ業務をすることは珍しくありません。

また、通常スタッフは担当しない、特に難しい見積項目である、減損やGCといった、監査報告書上のKAMとして選定されるような項目の調書を担当したり、監査ツールを使って、監査計画の立案から意見審査までの対応をします。

主査になると社内でもチーム間でのアサイン調整をする必要があり、クライアントの相談対応、社内の調整等、様々な業務が増えることになります。

ここでスタッフの時にわからないことはわからないままにせず、しっかり理解して日々業務に取り組んだことが活きてきます。

特にクライアントからの相談対応において、その力を発揮し、色々な会計処理を事前に理解をしていれば、クライアントから問い合わせをもらった時にその場で回答することができ、クライアントとの信頼関係を構築することに寄与しますし、例えその場でわからなくても、上司や同僚に相談して、答えを導く力がついているはずです。

クライアントからの相談事項はピンキリですが、やはり新しく会社を買う株式取得等の企業結合関係、新たにストックオプションを発行する等のイレギュラーな会計処理について相談されることもあります。
自身が経験したことがなくわからないことがある場合は一度持ち帰って監査チームで検討した結果をクライアントにお伝えすることが大事です。

いい加減な回答は、信頼を失うことに直結し、信頼がなくなると会社の情報が入ってこなくなったり、煙たがられたりして、最悪の場合、監査チームのトップであるパートナーに主査を交代してほしいという連絡が来たりします。

まとめ

監査法人での働き方
  • 論文式試験の合格発表が11月に中旬にあり、その後すぐに監査法人の面接があるため、8月中旬の試験後から合格発表までの間に入りたい監査法人を決める等の準備を事前にしておく。
  • 基本的には入所後、修了考査が終わる3年後までは、スタッフとして勤務することになる
  • スタッフの間に疑問点はできるだけ解消し、確実に力を身に着けることで、今後の働きやすさが変わる
  • 修了考査合格後、シニアに昇格し、現場責任者として勤務することになる

終わりに

今回は、監査法人の入所から主査レベルの働き方について、解説しました。

ざっくりとしたイメージは監査法人に入所してからは主査の元、指示された調書を作成するスタッフとして、色んな会社の管理体制を勉強して、調書を作成できるようになり、主査になって、クライアント対応や社内での調整をこなして、監査計画、意見審査までを担当し、監査業務全体を理解できるようになるといった感じです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは!

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