こんにちわ。大阪の会計士/税理士の唐木です。
「独立行政法人中小企業基盤整備機構」が提供している共済制度として、「経営セーフティ共済」というものがあります。
「経営セーフティ共済」は一定の要件を満たした中小企業者又は個人事業主が加入することができます。
「経営セーフティ共済」は、「倒産先の倒産」に備え連鎖倒産しないようにするための共済制度となりますが、上手に使うことで節税にも利用することができます。
今回は、「経営セーフティ共済」の具体的な活用方法について解説します。
節税の具体的な方法を知りたい方の参考になると思いますのでぜひ読んでみてください!
経営セーフティ共済の概要
「経営セーフティ共済」は、取引先が倒産し、売掛金の回収ができなくなり、資金繰りに行き詰った時に備えるための共済制度です。
あらかじめ共済に掛金を拠出しておくと、取引先の倒産により資金繰りに困った際に掛金の最大10倍まで無担保・無保証で借入れを行うことができます。
また、拠出した掛け金は、全額損金となりますので、上手に活用することで節税を行うことができます。
毎月の掛金の最大金額は20万円で、800万円になるまで(つまり最大掛金の場合は40カ月間)拠出することができます。
自己都合の解約であっても、掛金の12カ月以上を納めていれば、掛金総額の8割以上が戻り、40カ月以上納めていれば掛金全額が返ってきます。
このため、当事務所では、「経営セーフティ共済」が基本的に世に出回っている保険商品より流動性が高いケースが多いため、節税のため保険に加入する前に「経営セーフティ共済」に加入することを検討することをオススメしています。
なお、返戻金については、全額益金となりますので、この点には注意が必要です。
具体的な「経営セーフティ共済」の活用方法
資本金1億円以下の会社の場合、所得金額が800万円以下の場合と800万円超の場合で税率が異なります。
具体的には、所得金額が800万円以下の場合は15%、800万円以上の場合は23.2%となり、その差は8.2%とそれなりの差があります。
「経営セーフティ共済」は月々の掛金を5千円~20万円の間で5千円単位で自由に設定することができるので、所得金額が低い時は低い掛金とし、所得金額が高い時は高い掛金として拠出することで、所得を調整することが可能になります。
これを利用して、できるだけ年間の所得金額を800万円以下に抑えることができると、税率が低くなるため節税することができます。
また、事業が常に順風満帆ということは通常なく、時として赤字となる場合もありますので、拠出してから40カ月を経過している場合には、赤字の年に「経営セーフティ共済」を解約することで、赤字と返戻金を相殺することが可能になります。
このように掛金を拠出してから40カ月を経過した後は、損することなく好きなタイミングで解約をすることができるので、基本的に解約に制約がある保険商品とは異なる利便性があります。
「経営セーフティ共済」の掛金は、40カ月以上拠出すると満額返戻されるという性質があるため、銀行提出用の貸借対照表上は、保険積立金として資産として計上することができます。こうすることで、税金計算上の課税所得は少なくしつつ、銀行融資上の貸借対照表や損益計算書はよく見せることができるので、融資を受けるうえで有利になります。
まとめ
- 「経営セーフティ共済」は、取引先が倒産し、売掛金の回収ができなくなり、資金繰りに行き詰った時に備えるための共済制度。
- 毎月の掛金の最大金額は20万円で、800万円になるまで拠出することができ、全額が損金となる。
- 自己都合の解約であっても、掛金の12カ月以上を納めていれば、掛金総額の8割以上が戻り、40カ月以上納めていれば掛金全額が返ってくる。返戻金は全額が益金となる点に注意が必要。
- 「経営セーフティ共済」を上手に使うことで、所得を調整することが可能であり、節税効果を期待できる。
終わりに
「経営セーフティ共済」は、上手に活用することで節税を行うことできます。
保険商品については、解約時に多額の手数料が発生することが多く、資金が必要となった時に換金することに制約がある場合が多いので、まずは、「経営セーフティ共済」の利用をオススメします。
以前解説した、「小規模企業共済」も「独立行政法人中小企業基盤整備機構」が提供している共済制度で、有用な共済制度となりますので、ぜひ併せて解説記事を読んでみてください!
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは!