会計士・税理士が解説!合同会社の定款について

クーちゃん

定款って何?
合同会社の定款の具体的な作り方は?

今回はこのような疑問に答えれるようにわかりやすく解説します。

こんにちわ。大阪の会計士/税理士の唐木です。

独立にあたり1人会社として合同会社を設立します。

合同会社を設立するには、必要書類の一つとして、定款を作成する必要があります。

実際に設立にあたり定款を作成しましたので、今回は、定款の内容や作成の注意点を中心に解説します。

合同会社を設立される方の参考になりますので、ぜひ読んでみてください!

なお、検索エンジンで検索すると定款のひな形が出てきますが、法務局の公式ホームページからも定款のひな形を入手することができます。

合同会社の設立の登記申請(オンライン申請)に必要な添付書面情報:法務局 (moj.go.jp)

目次

定款について

定款は、会社の組織活動の根本規則を定めたものであり、会社の設立に当たって必ず必要になります。

定款は、会社における憲法のような役割をするもので、非常に重要なものといえます。

定款の記載事項には大きく3つの種類があります。

Ⅰ.絶対的記載事項

定款には、必ず記載しなければならないものとして、6つの「絶対的記載事項」を記載する必要があります。

①目的

目的とは、営利企業である会社が営む具体的な事業の内容を記載するものです。

例えば、コンサルティング業務をする場合においても、より具体的な「企業の経営及び会計に関するコンサルティング業務」等と記載する必要があります。

定款を変更する場合は、費用も手間もかかるので、あらかじめ将来やり取り事業を思い描いて、幅広く記載しておく必要があります。

検索エンジンで検索すると定款における目的の事例集が出てきますので、それを参考に考えてもいいと思います。

なお、最後には必ず、「前各号に附帯又は関連する一切の業務」等の一文を入れておきましょう。

こうすることで、ある程度、幅広に営む事業を解釈することができるためです。

②商号

商号は、会社の名前になります。

同じ住所に同じ商号は使うことができませんのでその点は注意が必要です。

③本店の所在地

会社の住所になります。

本店の所在地に、法的な制限は特段ありません。

自宅や実家、許可が取れている友達の住所等にすることも可能ですし、賃貸事務所、レンタルオフィス、バーチャルオフィスを借りてその住所にすることもできます。

本店の所在地は、全て載せる必要はなく「最小行政区画」までの記載で足りることになっています。
「最小行政区画」とは、市町村、東京都の場合は特別区レベルであり、例えば、本店所在地を大阪市にする場合は大阪市で足りることになります。
この場合もし大阪市内で本店の所在地の変更があった場合でも、定款を変更する必要はありませんので、利便性が高いといえます。
そのため、可能な限り「最小行政区画」の記載としておきましょう。
なお、「最小行政区画」とした場合であっても、登記の変更は必要なことには注意が必要です。
また、定款で本店所在地を具体的に定めない場合には、設立時に別途「代表社員、本店所在地及び資本金決定書」が必要になります。

④社員の氏名又は名称及び住所

ここでの社員は、従業員という意味ではなく、合同会社における経営者のことを示します。

そのため、経営者の氏名又は法人の場合は名称及びそれらの住所を記載します。

⑤社員の全部を有限責任社員とする旨

持分会社(合同会社・合資会社・合名会社)では、無限責任社員、有限責任社員のいずれかとなる可能性がありますが、合同会社は、会社形態上、全員が必ず有限責任社員であることから、そのことを明示するため記載します。

⑥社員の出資する内容及びその価額又は評価基準

社員の出資したものが客観的に金額がわかるお金の場合は価額、客観的に金額がわからない現物出資である場合には、評価基準を記載します。

Ⅱ.相対的記載事項

「相対的記載事項」は、会社法の規定により定款に定めがなければその効力を生じない事項のことです。

例えば以下が挙げられます。

  • 持分の譲渡の要件(会社法第585条第4項)
  • 業務を執行する社員(業務執行社員)の指名又は選任方法(会社法第590条第1項)
  • 社員又は業務執行社員が2人以上ある場合における業務の決定方法(会社法第590条第2項、第591条第1項)
  • 合同会社を代表する社員(代表社員)の指名又は互選(会社法第599条第3項)
  • 合同会社における社員の相続及び合併の場合の特則(会社法第608条第1項)
  • 存続期間又は解散の事由(会社法第641条第1号、第2号)

この中でも1人で会社を設立する場合には、⑤合同会社における社員の相続及び合併の場合の特則については、必ず定めておきましょう。

1人で会社を設立している場合に万が一当該社員が亡くなってしまうと、法定解散自由となってしまい、設立した合同会社が解散することになります。

しかしながら、この規定を定めておくことで、相続人に社員の地位を引き継ぐことができるので、相続をスムーズに行うことができます。

Ⅲ.任意的記載事項

「任意的記載事項」とは、定款の記載事項のうち、Ⅰ.絶対的記載事項、Ⅱ.相対的記載事項以外の事項で、記載せずとも会社法の規定に違反しない事項のことです。

例えば以下が挙げられます。

  • 業務執行社員の員数
  • 業務執行社員の報酬
  • 事業年度

業務執行社員の報酬は定款ではなく、設立後の臨時社員総会で定め、その議事録を作成・保管することで対応すれば良いでしょう。

なお、役員報酬は、設立後3か月以内に決定する必要があります。

事業年度については、税理士に依頼することを考えているのであれば、法人の決算日として最も選択されている3月決算や個人の確定申告と被る12月決算は避けたほうが良いでしょう。

割高となったり、申告を受けてくれない可能性が少なからずあります。

まとめ

合同会社の定款について
  • 定款は、会社の組織活動の根本規則をまとめたものであり憲法のようなもの。
  • 定款には、絶対に記載しなければならない「絶対的記載事項」、記載しないと効力が発生しない「相対的記載事項」、それら以外の「任意的記載事項」の3つから構成される。
  • 「絶対的記載事項」は、①目的、②商号、③本店の所在地、④社員の氏名又は名称及び住所、⑤社員の全部を有限責任社員とする旨、⑥社員の出資する内容及びその価額又は評価基準の6つから構成される。
  • 1人会社であれば、「相対的記載事項」のうち、「合同会社における社員の相続及び合併の場合の特則(会社法第608条第1項)」については、相続対策のため必ず定めておく。

終わりに

今回は合同会社の定款について解説しました。

会社の設立には、慣れていないと手間がかかりますので、報酬を支払ってプロにやってもらうほうがスムーズかつリスクもありません。

とはいうものの、会社設立時に資金に余裕がない等で、自分でやってみたいという方もいらっしゃると思いますので、その参考になりますと幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは!

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